今話題の江戸東京野菜

子どもたちが伝統のナス「蔓細千成」を栽培

新聞記事

2009年5月20日

(2) 食農授業で育成、観察

寺島のナス栽培復活

 江戸時代、ナスの産地だった寺島で五月七日、食農授業としてナスの栽培復活が始まった。今年、創立百三十周年を迎える墨田区立第一寺島小学校で、伝統のナス「蔓細千成」が児童に手渡された。

 この取組、農林中央金庫とJAバンクが食農教育を支援する「JAバンク食農教育応援事業」の一環で、JAバンク東京信連と当財団などが支援している。

 食農に対する取り組みは盛んになってはいるが、全国的にまだ手探り状態の中で、この応援事業があることで、学校サイドの要望に応えやすいと評価は高い。

 寺島は浅草の北東、隅田川に架かる白鬚橋を渡った東向島。江戸時代には寺島のナスは有名だった。この寺島地区、今では農地はまったくないが、ナスの栽培を復活したいとの地元の人たちの思いは熱い。

 この程、伝統のナス「蔓細千成」で復活が始まったが、この種子、農業生物資源研究所ジーンバンクに保存されていたことがわかり、十二月に取り寄せた。

 「美味しい野菜のつくり方(家の光協会)」などの著者でもある星野直治氏に依頼して、今年の一月に播種、長期間栽培できるように三月には接ぎ木もした。生徒達は星野氏の指導で定植、全校生徒による観察や、栽培が始まった。

 高橋英三校長は「子供たちがナスの栽培を復活することで、郷土の歴史を学ぶことは大切で、特に学年に応じた観察や栽培体験ができることは初めての試みだ」と、財団等と連携した食農授業に期待を寄せている。

(財)東京都農林水産振興財団 大竹道茂