2010年1月20日
江戸東京野菜の中でも今生産が追いつかないのが、品川カブだ。一昨年、JA東京中央が支援して品川区の小中一貫校で食農教育を実施したが、その後、同区の小学校十六校に栽培は広がり、カブは給食でも食べられた。
このカブ、大根に似た珍しい長カブで根も葉も共に美味しいことから東海道旧品川宿のナスビの花(大塚好雄代長)では商店街を活性化しようと、品川ブランドで売り出し商品化もされた。
かつて江戸でも食べられていた長カブは、金町小カブなどの柔らかいカブが生産されるようになって、すっかり忘れられてしまった。明治の種苗カタログの解説には「形大根の如く長さ尺余に達し甘味、煮食又は塩漬に適す」としたあと、「農家の小童之を生食す」とあるから、子どもたちはおやつ代わりだったのかもしれない。
このカブ、昨年はスイーツの素材で話題になったが、その後、「品川蕪入り餃子」「品川蕪まんじゅう」と幅広い需要ですっかり人気商品になった。暮れには、農商工連携で東京シティー青果が一本丸ごと真空パック詰めの「品川カブ漬」を売り出したが即完売で生産が間に合わないという。
小平市で長カブを生産供給している宮寺光政氏、地域では一人で栽培していたが昨年から同市の仲間三人にも依頼して需要をまかなっており、生産は練馬、小金井、国分寺でも行われている。